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「成仏したくねぇ……」
顔の筋肉をピクつかせながら、剛は言った。
男の体は宙に浮き、何やら地上で行われている葬式を見下ろしている。
その葬式はというと、明らかに一般のそれの雰囲気とは違っている。
外から覗く親らしき人物が遺影のそばで悲しげにうつむいているだけで、ろくに親族もおらず、ただ騒がしい野次馬が塀の周りを固めていた。
お坊さんも動揺してお経を度々間違え、字で書いたようなグダグダっぷりだった。
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