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そして霊体となった体が宙をさまよい、自身の葬式を見下ろしている。
「自分が死んだとお気づきのようで何よりです」
噛み倒しの坊さんのムービーを撮る野次馬に舌打ちをしていた剛の横から、声がした。
明らかに同じ高さから発せられたその声に、思わず体を弾ませる剛。
「この前なんて自分が死んでるのに気づいてなくてね……」
その容姿を見てさらに戦(おのの)く剛。
「おたく死んでますよーって軽く言ったら殴られちゃって参りましたよー」
骸骨(がいこつ)がしゃべっている。
「ほら ほら これ ヒビ」
頬を指差す骸骨。
鎌を持っているところからして……
「死神!?」
「うわっ!! ビックリした!!!」
剛が思わず大声で尋ねると、
死神?は地上へそのまま落ちていってしまった。
ビックリして落ちていっちゃうなんて……
死神じゃないのか……?
いや なんとなく
そんな思いを胸に、眉をひそめながら剛は墜ちゆく骸骨を目で追った。
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