死神

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「ちょっと驚かすのはナシですよー」 剛は突如後ろから発せられた声に再び体を弾ませ、振り返るとそこには先ほどの骸骨が佇(たたず)んでいた。  あれ……確かに落ちてったのに…… 剛のその疑念はすぐに興味へと変わり、 目の前でカタカタと音をたてて笑う髑髏(しゃれこうべ)へ向けられた。 古びた黒いローブを纏(まと)い、それに隠れて脚は確認できない。 しかし姿こそ怖いが、醸し出す空気はそれこそセールスマンの様に物腰柔らかである。 目の前に浮く得体の知れぬ生き物にメンチを切っていると、 骸骨は懐からノートのようなものを取り出し、パラパラとめくり始めた。  まさかノートに俺の名前を書いて完全に消すのか!? 剛はそう察し、焦り丸出しで飛びかかろうとしたその時、骸骨が口を開いた。 「……なるほど 相賀 剛さんですか  えー……っと死因は……  餅の食い過ぎ」 死神の肩が肩だけにカタカタと揺れている。 申し訳なさそうに顔を剛から背け、かみ殺したような笑い声を漏らしている。  殴りてぇ…… 剛は初対面の骸骨に心からそう思った。  
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