死神

7/10
前へ
/837ページ
次へ
「えーっ!?」 髑髏のそのバカでかい声に、剛の耳はハウリングを起こす。 「うるっせぇな!!!  何だよ悪ィかよ!?」 「だって冒頭で『成仏したくねぇ~……』って言ってたからてっきり未練タラタラなのかと……」 すると剛は引きつった顔を見せ、下界を指差す。 指差す先には明らかに不良と思しきグループが3・4つ、 道路に屯(たむろ)しながらお経をかき消す程のボリュームでバカ笑いしている。 「マジありえねー!!  餅喉に詰まらせて死ぬとかウケ狙いかよ!!!」 「ギャハハ…!!  まぁそんなもんよあんなチビヤロー!!!  俺に手も足も出ねぇのを苦に自殺したのかもな!!!」 「あー!  あり得る!!  あの根性ナシならな!!!」 「餅詰め自殺!!(笑)」 「ハハッハハハ!!  それ最高!!!」  何が(笑)だ!!(怒)  1ナノも面白くねぇよ!!  どうして知らない人の話とはこんなにつまらなく感じるんだろう  それが自分を中傷する内容なもんだから  つまらないどころの騒ぎじゃあないが そのバカ笑いグループは全員、剛が少なくとも一度は喧嘩したことのある連中だった。 「俺の見てねぇとこで好き勝手言いやがって……」 ふと横を見ると、死神がまた肩をカタカタさせて笑いをこらえている。
/837ページ

最初のコメントを投稿しよう!

497人が本棚に入れています
本棚に追加