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私は目の前の景色を見て驚いた。
小さな池の周りにぽわぁと浮かび上がる蛍の光。
まるで夜空に浮かぶ星のようで…私はその幻想的な光景に、呼吸をするのも忘れてしまうようだった。
「うっわぁー!キレー!!」
私は池に向かって駆け出した。
「おい!危ないから走るな!
新しい服を汚したいのか!?」
私は驚き立ち止まる。
雅人はゆっくりと私に歩み寄ってきた。
─気づいてくれてた…
私は嬉しくて少しボーっとしていた。
「落ち着きがないのは相変わらずだなぁー…」
雅人は呆れたように溜め息をつく。
それから少しうつむいた。
「雫。写メ撮ってやるよ」
雅人は顔をあげると言った。
「えっ!どうしたの珍しい!!
今まで絶対撮ってくれなかったじゃん!!」
私は慌てふためいた。
「今日は2人の記念日だからね」
雅人は優しく微笑む。
まさか雅人からそんなことを言ってもらえるなんて…
私は写メを撮ってもらうため池の前まで歩いた。
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