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雅人が携帯のカメラを構える。
難しい顔をして画面を見ていたが、私は気にならなかった。
「…じゃあ撮るよー」
雅人が笑う。
私も微笑んだ。
─嬉しいなぁ
このままずっと雅人と居れたらいいのに
カシャっとシャッターの切れた音がした。
雅人は画面を覗いている。
「どう?雅人うまく撮れたー…」
私は雅人に駆け寄った。
声をかけたが言葉が切れる。
雅人の目からは何故か涙がこぼれていた。
「雅人…?」
私は訳がわからなかった。
だから涙が出てくる原因を探した。
「どうしたの!?もしかして傷が痛むの!?」
「雫…」
「ん?」
雅人が震える声で私の名前を呼んだ。
「俺…今でも雫のこと好きだ…」
「…?…うん?」
私は「今でも」って言葉になんか引っかかったが、気にせずうなづいた。
「生きてるうちにもっと伝えておけば良かった…
俺…雫と離れたくない…」
─生きてるうち…?
私の心はざわめいた。
心臓の音が早くなる。
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