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「爽夏~悪いんだけど課題見せてくんね?」
「またぁ?仕方ないなぁ~」
私は那央に自分のノートを手渡す。
「さんきゅ~」
那央は喜びノートを受け取った。
自分のノートに課題を写し始める。
「なぁなぁ、これって何て読むんだ?」
「どこどこ?」
那央がノートを指差しながら聞いてきた。
私は椅子を近づけノートを覗く。
那央の髪からいい香りが仄かに香った。
私はその香りにドキッとする。
「どうした?」
那央が私の顔を覗き込む。
「何でもないって!」
私はハッとしてつい那央の背中を叩いた。
「いって! いきなり酷くね?」
那央は叩かれた場所をさすりながら言う。
「馬鹿力なんだから叩くなよ~」
「うるさいなぁ! 課題見せないよ!」
「それは困るっ! これは俺の生死を左右する大切なものなんだ!」
那央は私のノートを抱き締めながら言った。
「そんな訳ないでしょ!」
私はまた那央の背中を叩く。
那央とはいつもこんな感じの会話をしていた。
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