離れていても…

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「ただいま~」 私はリビングの扉を開けた。 「おかえり爽夏」 そこには満面の笑みを浮かべた両親がいた。 「どうしたの?何か嬉しいことでもあった?」 「実はな父さん仕事が決まったんだ」 お父さんがピースをしながら言う。 心臓がどくんと跳ねる。 「だからな…引っ越すことになりそうなんだ。 父さんは単身赴任でいいんだが…」 お父さんの顔は寂しげな表情へと変わった。 …そんな引っ越すだなんて…那央と会えなくなっちゃう!! そんなの…嫌だよっ… 引っ越したくない… 「そっかぁ~」 私は出来るだけ嫌な表情をしないようにしながら言うと、自分の部屋に向かった。 部屋で着替えているとドアをノックする音が。 「はぁい」 「爽夏…」 ドアを開けるとそこにはお母さんが立っていた。 「あのね…父さんの引っ越しのことなんだけど…いいかな…」 「うん…」 私はお母さんを部屋の中に入れた。 お母さんと私はベッドに隣り合わせに座る。 お母さんはしばらく無言でいたが、ようやく口を開いた。 「最初は単身赴任にしてもらおうと思ったの…爽夏の学校のこともあったし… だけど父さん寂しがり屋だから…一緒に行こうと思うのよ… 爽夏はイヤ…?」 引っ越したくない…でも… 「全然大丈夫だよ」 私は笑って答えた。 お母さんとお父さんの悲しい顔を見たらそんなことは言えなかったから。 私一人の我が儘で残りたいなんて言えない。 私は次の日に那央に告白しようと決めた。
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