38人が本棚に入れています
本棚に追加
そして引っ越し前日…
教室ではみんなが私のお別れ会をしてくれた。
黒板にはおっきな字で『さようなら爽夏ちゃん』と書いてある。
「元気でね…」
「メールするからね」
「友達出来るといいな」
「忘れないでよ」
仲のいい友達が声をかけてくれた。
私は別れるのが寂しくて…みんなの言葉が嬉しくて…泣いてしまっていた。
それにここには那央の姿が無くて。
だから涙は更に私の頬を伝い…落ちていった。
みんなと別れを言い、放課後…1人教室に向かう。
夕日が教室を赤く…切なく照らし出す。
私は自分の机に座り教室を見渡した。
今日でこの教室ともお別れか…
もう…来れないんだ…
私は隣の机…那央の机に視線を移し、じっと見つめた。
結局言えなかった…
もう那央と…会えなくなっちゃうんだ…
私の目からは涙が溢れた。
溢れて止まらなかった。
那央との思い出が頭の中をよぎって。
一緒に笑いあっていて。
でもそれも出来なくなる。
那央との別れと自分の勇気の無さに悲しくなった。
私が1人で泣いていると静かに教室のドアが開いた。
最初のコメントを投稿しよう!