離れていても…

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そして引っ越し前日… 教室ではみんなが私のお別れ会をしてくれた。 黒板にはおっきな字で『さようなら爽夏ちゃん』と書いてある。 「元気でね…」 「メールするからね」 「友達出来るといいな」 「忘れないでよ」 仲のいい友達が声をかけてくれた。 私は別れるのが寂しくて…みんなの言葉が嬉しくて…泣いてしまっていた。 それにここには那央の姿が無くて。 だから涙は更に私の頬を伝い…落ちていった。 みんなと別れを言い、放課後…1人教室に向かう。 夕日が教室を赤く…切なく照らし出す。 私は自分の机に座り教室を見渡した。 今日でこの教室ともお別れか… もう…来れないんだ… 私は隣の机…那央の机に視線を移し、じっと見つめた。 結局言えなかった… もう那央と…会えなくなっちゃうんだ… 私の目からは涙が溢れた。 溢れて止まらなかった。 那央との思い出が頭の中をよぎって。 一緒に笑いあっていて。 でもそれも出来なくなる。 那央との別れと自分の勇気の無さに悲しくなった。 私が1人で泣いていると静かに教室のドアが開いた。
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