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ところが、理事長もいなかった…。
「期待もされてないって事か…」
Xはもう一度職員室を覗く。
いた!ゴクゴクとお茶を飲んでる先生らしき人が!慌てて声をかける。
「あの、すいません!」
あきらかに、ビクッとしたその先生は、
「いやっ、サボってる訳じゃなくて…つまり、テスト用紙を取りに来ただけで…」
しどろもどろだ。
「来週から、こちらに赴任してくる山崎ですが…」
目線さえ合わせなかったその先生は、急に目を輝かせ近付いてきた。
「聞いてますよ!山崎先生!待ってました!待ち兼ねてました!」
そう言いながら、握った手をいつまでも離さない。よく顔をみると、うっすら涙が滲んでいるような?
「あっ、はい!よろしくお願いします。あの…理事長は?」
その先生は、涙を大胆にぬぐうと、笑顔を作った。
「理事長は、急用ができまして…私が代わりに学園を案内するように言われてます」
(まったく無視でもなかったんだな)
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