【BibleProbe+etc】

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※一説にはこれはコンスタンティヌスがかつて手にした槍で、その後サラセン人の略奪から逃れるため、アンティオキアに再び埋められたものであると言われている。しかしまた一説には、コンスタンティヌスの槍はその後、アリマタヤのヨセフとその子孫がイングランドのグランストンベリーに運んで埋めたとも言われ、それが後のアーサー王伝説のモチーフになったとも言われている。(参考:「岩に突き刺さる聖剣」エクスカリバー伝説解明か 伊) しかしまた、現代の歴史家によれば、ここで発見された「ロンギヌスの槍」もまた捏造であるとされている。彼らの推測によれば、当時、イスラム軍に包囲された十字軍は圧倒的な劣勢にあったため、指導者が画策し、「ロンギヌスの槍」発見を以って著しく士気の落ちた兵士達を鼓舞する目的で捏造したというのである。また十字軍の時代には熱烈な聖遺物崇拝が行われ、多くの聖遺物がこの時代に"発見"されたという時代背景もそれを裏付けるという。しかし事実として、結果的に十字軍はその後イスラム軍を撃破し、エルサレムを奪還、7世紀のアラビア勢によるビザンチン帝国の蹂躙以来、はじめて中東にキリスト教国を建国するのである。 ヒトラー、ワーグナーと「ロンギヌスの槍」 そして時は流れて20世紀、この「ロンギヌスの槍」の魔力に魅せられたもう一人の男がいる。第三帝国を率いたアドルフ・ヒトラーである。1938年にナチスがオーストリアを併合した際、ヒトラーはハプスブルク家の財宝を奪い去ったと言われているが、一説によれば、ヒトラーはまず何よりも「ロンギヌスの槍」にこだわり、第三帝国の名の下においてそれを奪還、同年10月13日にはヒトラーの命令で武装したSS専用の列車に槍を積み込み、ニューンベルクに輸送したという。 またその経緯として、「ロンギヌスの槍」はヒトラーが愛したワーグナーの作品にも度々登場し、一説にはそれがヒトラーに影響を与えたとも言われている(ヒトラーは学生時代からワーグナーの熱烈なファンだった)。特に戯曲「パルジファル」においては、聖杯を守る騎士団の敵、クリンゾルなる魔術師は「ロンギヌスの槍」を探し出し、黒魔術に用いるといったエピソードが展開されている。またワーグナーはこの「ロンギヌスの槍」について、魔術王として知られるランドルフ2世image=122567062.jpg
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