【BibleProbe+etc】

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(彼も19世紀、「ロンギヌスの槍」を捜し求めた一人である)の逸話からインスピレーションを得たと言われている。そしてまた、ヒトラーがこのクリンゾル、そしてランドルフのように「ロンギヌスの槍」を捜し求め、世界征服への野心を燃やしたと言う説があるのだ。 トレヴァ・レヴンズクロフト氏が著した「The Spear of Destiny(邦題:ロンギヌスの槍―オカルティスト・ヒトラーの謎)」にはこの経緯が詳しく説明されている。同書において、氏はヒトラー個人、そしてナチスの行軍をオカルティズムという視点から再検証し、ヒトラーが導かれるように「ロンギヌスの槍」を探し求めたという自説を展開している。 「ロンギヌスの槍」がハプスブルク家の手に渡るのは1912年のことである。同書によれば、その年の9月、当時ウィーンの水彩画家であった若き日のヒトラーは博物館を訪れ、「ロンギヌスの槍」をはじめて目にしたという。そしてその時の様子を同行したウォルター・ステイン氏はこう語っている。 「我々が初めて"運命の槍"を目にした時のことだった。私の隣で槍を見ていたヒトラーは急に恍惚状態に陥り、まるで完全に意識を失って朦朧としているようだった。」 そしてヒトラー自身、後にその時の事を回想し、次のように語ったという。「私はその槍の前に立って、数分間、ただ静かにそれを見つめていた。するとそれが何か、私の奥底で眠っていたもの、あるいは私が直視することを避け続けてきた何かを強烈に呼び覚ましているような感覚に襲われたのだ。そして私はその槍を、自分が生まれる以前、数世紀前にも一度手にしていたような気がした。私はその槍を持って世界を手中に収めようとしていた、そう感じたのだ、、、。」 ヒトラーが戦前から戦中にかけて、オカルト、あるいは疑似科学的な事物にいくらかの興味を示していたこと、そして側近のSSリーダー、ハインリッヒ・ヒムラーがオカルティズムに深く傾倒していたことは広く知られた事実である。しかしまた、歴史家らの見解では、実際にはヒトラーがハプスブルク家の財宝に興味を示したのは単に経済的理由であり、特別「ロンギヌスの槍」に深い興味を寄せていた訳ではないとして、同書の説を否定している。image=122567787.jpg
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