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「なっ!なんで孝が持ってるの!!」紗江が驚いた表情を浮かべ、自分の荷物を探る。
「司が…司が渡してくれたんだ。」
「天音君が…あっ!あの時落としちゃったんだ。」紗江が手を口に当てながら言う。
「ありがとな、紗江。」少しぎこちなく孝が紗江に笑いかけた。
「か、勘違いしないでよ!私…孝に渡そと思った訳じゃ無いんだから!」紗江が、慌ててブランコから立ちあがりながら言う。
少し沈黙が流れた。
また言っちゃった…紗江が泣きそうになりながら平静を装う。
「だ、だいたい!明美はどうしたのよ!付き合う事になったんでしょ?」
「どうして知ってるんだよ。」質問には、答えず少し低い声で孝が聞きかえした。
「あっ!誤解しないでね。たまたま教室の前通ったから…別に覗いてた訳じゃ無いんだから!ただ聞こえちゃって。」少し紗江の目がうるむ。
「よ、良かったじゃない!ほら、孝も前から可愛いって言ってたし。私が言うのもなんだけど、彼女凄く良い娘なんだから!」少し声を上擦らせながら何とかそこまで言った。
「本気で言ってるの?」孝が少し小さな声で聞いた。
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