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「当たり前でしょ。」顔を背けて紗江が言った。
「でも、泣いてたんだろ?」
「ば、馬鹿言わないでよ!天音君が何言ったか知らないけど、そんなはず無いでしょ!」また少し沈黙が流れる。
「だから…早く行ってよ。明美だって、待ってるんでしょ?」後ろを向きながら紗江がぶっきらぼうに言う。
「紗江…俺、こないだ、お前が今年チョコを俺以外のやつに渡すって、話してるの聞いてたんだ。」
「えっ?」紗江が驚いた顔で振り返る。
「その時から、何かスゲーいらいらしてて。ずっと自分を誤魔化そうとしてたけど…無理だった。」下を向いていた孝が紗江の目を見つめる。
「やっと、気がついたんだ…紗江、俺は、俺は…」息を飲んで紗江も孝を見つめる。
「ずっと前から…きっと8年前、この公園でお前と約束した時から、紗江…俺は、紗江が好きだ。」一瞬時が止まったようだった。 紗江は、自分が何を言われたのか…一瞬理解出来なかった。
「ばっ!馬鹿言わないでよ!」弾かれたように紗江が叫ぶ。
「馬鹿って言うなよ。これでもスゲー緊張して告白したんだぜ」孝が少し暗い表情をした。
「だっだって…明美は!明美と付き合うんでしょ?」
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