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その時だった。
男が突然苦しみだした。
「は、腹が痛え!」
「お、俺もだ!」
「ちくしょう!おい!もうほっとけ!行くぞ!」
それぞれ腹を押さえながら走り去っていった。
紗江は、一瞬ぽかんとした顔をしていたがすぐに孝の所へ駆け寄った。
「孝、孝大丈夫?」泣きながら孝にすがりつく。
「う、うん大丈夫。」孝が身体をあげる。
「もう、弱虫の癖に!私は、大丈夫なんだから!」
「ごめんね。でも紗江ちゃんが突き飛ばされるの見て、なんとかしなきゃって」孝が泣きそうになりながら言う。
「孝…。あり…、わ、私より小さくて弱いくせになに言ってんのよ。いつも私に守られてる癖に!」ありがとうと言いたかったのに、紗江はこう言ってしまった。
「ごめん。でも僕男の子だから、いつか紗江ちゃんより大きくなって、僕が紗江ちゃんを守るから。」孝が泣きながら紗江に言う。 「そんなの無理に決まってるじゃない。」紗江がそう言った。
「約束するよ!」孝が小指を突き出す。
紗江が泣きそうになりながら小指を孝と組んで約束をした。
その時声がした、「大丈夫かい?二人とも。」二人が声がしたほうを向くとそこには見たこと無い背の高い男が立っていた。
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