終わりの物語

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 「2年もかけて、もの好きな事だ。」孝と紗江が抱きしめあう姿を見つめる司に小さな黒髪の女の子が声をかけた。  「ああ、お久しぶりです。」司がにっこり微笑んで答える。  「わざわざ2年も費やして世話をやくなど、何のためだ?」女の子は表情を変えずに言う。  「う~ん、気まぐれですよ。」司が答える。  「まあ、あえて言えば、似てるんですよ…大切だった人にね。」司の目が少し寂しそうに二人を見つめる。  「それに、高校なんて行ってなかったもんで、約2年間楽しかったですよ。」孝は、抱きしめあう二人に向けて手をかざした。 「他の人間の方は、私がやっといた。」やはり無表情に女の子が言う。 「お手数かけました。」司が頭を下げた。 「もう、時間だ。行くぞ。」女の子が歩き去る。 「…仲良くな。」また二人を見てそう呟くと司も歩き去った。  孝と紗江は、一瞬頭痛を感じたが二人で抱きしめ合う温かさに直ぐに忘れた。  夕暮れの太陽が何時もより少しながく二人だけを照らしていた。
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