序章:聖戦の卵達

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ーカリグサイドー 俺はカリグ。 職業は傭兵。 しかし今は泰平の世だ。 戦争なんざ起きたりはしない。 故に俺達の仕事は専ら“魔物”絡みの事になる。 1、魔物の退治、 2、魔物の調査、 3、魔物からの護衛。 今請け負っているのは3である。 護衛“してやってるのは”、 「ちょっと!貴方も彼らを手伝わなくても良いの!?」 とまあ口うるさい事を言ってくる女だ。 名前はレーア。職業は祈祷師だとか。 肩口で揃えられたブロンドと蒼い瞳が俺好みの美人だが、 スタイルが貧相なんで70点の残念賞。 後は祈祷師なんて良く分からない職業じゃなければ夜部屋に遊びに行ってやるのに…。 「ちょっと!聞いてるの!?また増えたけど彼らは大丈夫なの?」 「あー問題ナッシング。あの程度なら二人でお釣りがくるよ」 それこそ丸々一人分。 つまり本来一人で十分ってこった。 “彼ら”とは俺の相棒、アーテル・コルドとその取り巻き、エリアル・フィーア・ラクサスの事だ。 奴らは今20を越える魔物と相対している。 一応誤解の無いように説明するが、魔物一匹の戦闘能力は、最低でも武装した兵士一人分以上と言われている。 それを二人で20以上相手にしている。 どっちが魔物だよということだ。俺が言いたいのは。 エリアルは二本の細い装飾刀を用いて並み居る敵を舞うように切り伏せる。 帝都では“鉄の女”と呼ばれる長い銀髪、碧眼の女剣使。 美人だがやはり俺のお眼鏡には叶わない。 スタイル悪いし、 性格きついし、 女だてらに俺達より収入良いし、 ……ひがみじゃないぞ? もう一人は我が相棒アーテル。 赤いバスタードソードを操り一振りで数匹を薙ぎ倒していく。 あの細身のどこにあんなパワーが有るのか分からないが、本人曰く力では無く技で切っているらしい。 白髪、黒瞳の細身の青年。 すらりとした身長と聖人の心を併せ持つ。 まあ要するに良い奴って事だ。 そろそろ終わりそうだし俺の自己紹介も少し。 名前はカリグ。ファミリーネームは捨てた。 赤い、燃えるような髪は貧民街出身の証だ。 アーテルとは違いがっしりとした体躯と女を魅了するフェロモンを持つナイスガイ。 しがない傭兵家業を楽しむ自由人ってところだ。
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