第壱章 松本良順の弟子

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しばらく隣について歩いて行く。 痺れをきらした巳鷺が松本にまだ目的地に着かないのか尋ねた。 「もうそろそろですよ」 と返されてから巳鷺は進む程少しずつ嫌な予感がしていた。 (この方向…確か、あの殺戮集団と悪名高い新撰組の屯所がある方向じゃないだろうか) わざわざ新撰組の屯所まで行ったことが無いため確信が持てずに居ると、不意に師匠が止まった気配がしたため慌ててそれに合わせるよう平静を装いながら歩を止める。 「着いたよ。」 語尾に❤が付きそうな位ご機嫌で松本が巳鷺に言う。 この状況で何故に己の師匠はこんなにご機嫌なんだろうか? 門の前に立つ二人の門番 そして決定的な物が… 立派な木彫りの表札が右端に墨で『新撰組』と書かれたていた。 決定的だ。 理解した巳鷺は思わず心中で脱力する。
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