第壱章 松本良順の弟子

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落ち込む巳鷺に気付く事もなく、松本は門番の一人に話かける。 『すみません。私、松本良順と申しますが近藤局長に取りついでもらえないですかぁ?』 怪訝な目で見てくる門番に松本は言いながら底なしの笑顔を浮かべた。 『ちょっ…先生。』 慌てて止めようと巳鷺が口を挟むが既に時遅し。 そう判断するやいなや、巳鷺はさっと松本の隣に並び門番との間合いを詰める。 (この距離なら何があっても先生を守れる。) 巳鷺は腰に指された脇差しに一瞬意識をやり、相手に気取られないように戦闘体勢に入る。 『巳鷺そんなに心配しなくても大丈夫ですよ☆』 こっそりと小さな声で松本が囁く。 『おいっ』 門番の一人がもう一人の門番を呼びつけると耳打ちした。 どうやらこの男の方が立場が上らしい。 『確認の為しばし待ってもらいますぞ』 耳打ちされた男が屯所の中に消えていくとこの場に残った男が説明するとしばらくして男が戻ってくる。 また耳打ちをする男。 (何を焦ってるんだ?) 不思議に思っていると二人はこちらに向かい深々と綺麗な一礼をしてくる。 『失礼いしました。局長室までお連れ致します。さぁどうぞ』
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