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電気もつけず暗い部屋で一人、俺は泣いていた。
なんで泣いているかっていえば、ごくごくありふれた理由なわけで。
まぁ、失恋ってやつ。
どうしようもなく悲しくて悲しくて、涙が溢れて止まらない。
さっきからずっと泣いているような気がする。
この涙はいつ止まるのだろう。
泣けば気持ちがスッとするというが、泣きやんだ後の俺は晴れ晴れとしているのだろうか。
泣いても泣いても変わらないのなら、俺はどうすればいいのだろう。
だから怖くて泣きやむことができない。
涙っていうのは、その人が好きだって証なんだと思う。
想いが強ければ強いほど、涙はいつまでも止まらない。
ピンポーン。
静寂で満ちていた部屋に、チャイムの音が響く。
枕に埋めていた顔を上げ、俺は玄関の方をちらりと見た。
もう一度チャイムが鳴る。
いつもよりもうるさく、煩わしい感じがするのはこんな状態だからだろうか。
――ったく、こんな泣き顔、人に見せられないっていうのにいったい誰だ?
正直、今の俺は誰とも会う気はない。友達や家族にも。
だから玄関の先にいるのは誰だっていい。俺は無視を決め込むことにした。
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