都会の雪

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「……あちゃぁ~…やっぱりか……」 《JR各線、大雪の為、運転を見合わせております。しばらくの間お待ち下さい。……》 駅の電光掲示板に流れるメッセージを読んで、俺(坂口 宏介)は呟く。 JR新宿駅、帰宅ラッシュのピーク、人込みの雑踏の中で俺は考え込んだ。 (……どうしようかな?……このまま電車が動くの待つかな……) しかし、こんな座る場所も無いような雑踏の中で時間を潰すというのも……。 「会社で残業でもしてればよかった……」 ついつい大きな独り言を言ってしまう。 田舎から上京して約一年…… 仕事にも慣れ、都会の過ごし方も、いろいろ覚えたが、こんなイレギュラーは初めてだ。 (給料日前だから金も無いし……) 仕方なく駅ビルの中ででも時間を潰そうと改札に足を向けた時だった。 「あれ?…坂口君?」 ふいに呼び掛けられて振り向くと、会社の同僚で少し先輩の“川野 理美”がいた。 「うわっ! スゴい偶然ねぇ」 嬉しそうに話かけて来た彼女に、俺はマヌケな返事しかできなかった。 「か、川野さん…どうしてここに?……」
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