都会の雪

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「《金のネックレス》してるんでしょ? 田舎に残して来た彼女からのプレゼントの?」 川野さんはチューハイを飲みながら、いたずらっ子のような顔で問い掛けた。 俺は思わず首元を押さえる。 「まぁ……そうなんですが……」 そういえば、先日あった会社の飲み会でバラされたっけ…… 「大事にしてあげなさいよ~……クスクス……」 かなり酔っ払っているようだ。 俺はコップの日本酒を一気にあおると、思いきって彼女の耳元に囁いた。 「川野さんの為に外してもいいんですケド……《ネックレス》……」 しかし、彼女の反応は…… 「…プッ……ィヤダァ~……キャハハハハ!……」 笑い飛ばされた。 (お互いの恋人の存在さえ無ければ、マジで口説くんだけどなぁ……) (結構、好みのタイプだし……) 如何せん……首の《ネックレス》が……重たい……。 (もう少し飲ませたら“落ち”そうなんだが……) ほんのりとお酒によって上気した彼女の顔を眺めながら、俺は会った事もない川野さんの彼氏に嫉妬した。 (……クソッ……俺も相当酔ってるな……) 彼女の存在が会社にいる時より、ある意味近くに……ある意味遠くに思えた。
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