act:2「顔見えない…。」「俺も。」

5/5
前へ
/12ページ
次へ
雪哉の目はとても真剣だった。 こんな目されたら…断れないよ… 「~っ、あーもうっ!!わかったよ、やるよ!」 「ま、まじで?!」 「あ、あぁっ!!」 「や…ったぁぁあっ!!零菟、ありがとぉっ!!大好きだぁぁあっ!!」 叫びながら、雪哉は私に飛び付いてくる。 「雪哉ぁっ!!くっつくなぁっ!!」 「えー、いいじゃんよぉ。」 ぶーぶーと、ブーイングしてくる雪哉を横目に、私は八神さんに話かけた。 「八神さん、私で…いいんですか?」 「…と、言いますと?」 「私なんか、なんも取り柄もないし…、」 「そんなこと、ありませんよ。」 「え…」 ふっと、八神さんの顔を見上げる。 …見えないけど。 「雪哉がここまで気に入ったのは、貴方が初めてなんですよ。」 「…え?」 「雪哉は、ずっと人を信用できなかった… そんなあの子が、人を気に入ったのは、初めてなんです。」 「そう…なんですか」 正直、何も言えなかった。 雪哉みたいな明るい人が、人を信用できないなんて… …死ぬ前にでも、なんかあったの…かなぁ? 「まぁ、とにかく」 「えっ?」 「これからよろしく、零菟っ」 にこっと、笑って私の目の前に手を差し出す雪哉 「あぁ、よろしくね!」 それに応じ、私も雪哉に手を差し出し、ぎゅっと掴む 「っし、これで仲間だな!」 「だね!」 「じゃあ、さっそく手続きとりますか!」 そして、私は死神の手続きを取ることになった
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加