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その頃の記憶は曖昧で、思い出す事ゎバラバラだが…。
私ゎ島に戻るフェリーの中に居た。
展望スペースで、何故か手を突き出し泣きわめいて居る。
私の手の先にゎ、波止めで出航しようとしているフェリーに向かって、ずっと手を振って居る女の人が…。
キャシャな体で、寂しそうに見えなくなるまで、ずっと…ずっと振って居る。
…母だ!
私ゎ離れたく無い一心で、泣け叫び、暴れまくっている。
そのすぐ横で椅子に座り、うつ向きながら煙草を吸って居る父が…。
何も言えず、ただ煙草を吸って居た。
母の姿ゎ、段々と小さくなり、見えなくなって行く。
少しの間、泣きわめいて居た私だが、もぅ諦めるしか無かった。
力尽きて、その場に座り込み、下を向いたまま…。
ヒックッ…ヒック…ッ
ずっと見て居た父ゎ、スッと私の大好きだったネクターを差し出した。
父ゎかなり、不器用だ。
慰める事や子供のあやし方など、知る術もある訳が無い。
ただ、解らない中で父も考えたんだろう。
私が笑顔に戻るモノを…。
なんとなく、優しい味がした。
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