椎茸

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  あの匂いがダメ。   あの食感がダメ。   手の届かない窓。 薄暗い部屋。 熱く・・・ジメジメした空間。 乾いた喉。 風も入らない・・・蔵の中。   朦朧とする意識。   湿気の臭い。   小さな窓から入る、外の世界の音。   叫んでも・・・助けは来ない。   泣いても・・・救われない。   熱さと乾き・・・空腹。   ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・   喉が呼吸をするたびに・・・悲鳴を上げた。   自分はこのまま誰にも気づかれず死ぬのだと思ったら・・・泣いていた。   枯れたと思っていた涙が、また流れた。    
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