囁き

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  熱い傷に生きている事を自覚する。 消毒液の臭い。 白いベッド。 白い包帯。 冷たい体に熱い傷。   あぁ…また生き残ってしまった。 そんな言葉が頭を過る。   何故死にたいのかと言われれば返答に困る。 どうしたいのか、と問われれば…それも返答に困る。 どうしたいのか、何をしたいのかわからないから、悩む。 何をしたいわけじゃない。 何がしたいのかわからない。 将来の夢が持てない。 夢みたところで、叶わないと諦めてしまう弱い自分。   何も持てない自分。 何も…何も。 とりあえず何かしようと思うが、何も思いつかない。 どうしたいのか、自分でもわからないからイライラする。   だから…手首を切った。 だから…死のうと思った。
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