episode 1-one-

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それはそれは幸せなおとぎ話。   「―こうして、おひめさまはずっとしあわせにくらしましたとさ」   「しょうちゃん、もういっかい!」   「またぁ?しのちゃんはこのおはなしすきだねぇ」   さっきまで泣きそうだったはずなのに、今度は瞳をキラキラさせてねだってくる妹。 子供ながらに頼ってくれたことが嬉しくて、笑顔が戻ったことが嬉しくて、何回も何回も絵本を読んだ。     気がつくと辺りは薄暗くなっていた。 どうやら絵本を読みながら眠ってしまったらしい。 耳を澄ましても、階下からあの怒鳴り声は聞こえない。 あの騒々しさが嘘のようにシンと静まり返っていた。  
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