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それはそれは幸せなおとぎ話。
「―こうして、おひめさまはずっとしあわせにくらしましたとさ」
「しょうちゃん、もういっかい!」
「またぁ?しのちゃんはこのおはなしすきだねぇ」
さっきまで泣きそうだったはずなのに、今度は瞳をキラキラさせてねだってくる妹。
子供ながらに頼ってくれたことが嬉しくて、笑顔が戻ったことが嬉しくて、何回も何回も絵本を読んだ。
気がつくと辺りは薄暗くなっていた。
どうやら絵本を読みながら眠ってしまったらしい。
耳を澄ましても、階下からあの怒鳴り声は聞こえない。
あの騒々しさが嘘のようにシンと静まり返っていた。
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