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俺は今―――ある女を殺そうとしている。
それは友人の彼女だった。
憎かった。親友を奪い取った彼女が。
親友は彼女が出来ると俺にあまり関わらなくなった。
俺にはその友人しかいなかったのに、それを分かったいながらアイツは俺を裏切ったのだ。
家に誘うのは案外と容易かった。もともと彼女とは知り合いではあったのだ。親友も知らないことだが、彼女とは幼稚園の頃に結婚を誓いあった仲だった。
「どうしたの突然、食事でもなんて」
彼女は、これから殺されるとは夢にも思っていないだろう。
「いやね。キミと彼が結婚するって聞いてさ、その前に色々と語りたかったんだ」
「あの人を置いて?」
「そうさ。だって昔、結婚を誓ったなかだろう?」
と茶化す。彼女は懐かしいと笑った。
「そんなことあったわね。先生は困ってたわ」
「そうだね」
―――そうしてたわいもない話や、彼女の惚気話を聞かされ、結婚についてもいくつか尋ねた。
彼女はとても幸せそうだった。
至福だろう。こんなにも幸せでいいのかしら。なんて馬鹿みたいに笑って……。
―――ズキ。と何かが痛んだ。
けれど、大丈夫。耐えれる。
俺には親友しかいないんだ。
例え昔の友達だろうと、手にかけれるさ。
殺す。そう殺せる。
俺は、彼女を殺せる―――!
用意した毒は○○○だ。
毒性が高く、1ミリグラムで死に至る。
水溶液は無色透明で、無味無臭。死後は発見が難しく、心臓麻痺とされるため事件性を問われにくい。
その毒はデザートに混ぜてある。
最後の晩餐くらいは楽しませてやろうとの配慮だった。
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