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そのデザートを食べ終わった時。
変化が起きてのは―――。
―――自分だった。
「っ。な、んで」
「ごめんなさい、だってアナタ―――嫉妬してしまうくらいに女性なんですもの」
死ぬ間際。あぁ殺したら良かったと、俺は思った。
まぁこれでアイツも杞憂はなくなるかぁ―――。
久しぶりに女性同士の食事と私は喜んでいた。昔の親友。自分を俺と呼ぶことに少しばかり驚いたが、性格は昔のままだった。料理も上手で文句なし。
けれど、自棄に結婚の話ばかりを持ち出して来る。
―――ううん。結婚というよりもむしろ“彼”のこと。
親友と彼女は彼を呼ぶ。
けれど、私は見逃さなかった。彼女に浮かぶ“女性”の色を。
―――そして。見てしまった。デザートに入れる変なものを。瓶に入った白い粉を真剣に量っている姿をみて私は直感した。殺されるかも知れない。と。
単なる杞憂の可能性も捨て切れなかった。だから、一つの布石を置かせてもらった。
毒性に反応する毒。
正確にいえば、ヒトにとって毒となる主な成分に反応して毒性を強くする毒。
それを彼女の水に入れさせてもらった。それが毒でないのなら無害だし、毒であれば―――。
「な、んで」
目の前で苦しむ旧友に胸が痛んだ。そして死ぬ間際まで、“彼”のことを想っている彼女が羨ましく見えて――
「ごめんなさい。だってアナタ―――嫉妬してしまうくらいに女性なんですもの」
そうして、心臓麻痺で死んだ彼女を弔った。
――――。
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