子犬

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それは子供の話。 『子犬が生まれたら一匹ちょうだい』 『うん。いいよ!』 ―――男の子の家には犬がいた。それに子供が生まれたらくれると約束した。ただそれだけのこと。 一年後、子犬が生まれた。 3匹の可愛い子犬。 彼は約束通り一匹あげた。 『ありがとー』 『ううん、どういたしまして。大事にしてね』     ――二年後あげた犬は“寿命”をむかえた。   何故か? こう言えば分かるだろうか。 男の子の家には3匹の子犬が生まれた。 3匹とも男の子のウチにいる。 ―――そう。彼は“親犬”をあげたのだ。   嘘はついていない。 勝手に思い込んでしまったのだ、もらえるのは子犬だと。 言葉の意味にない意味を付加した結果だった―――。
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