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魔法のランプ
―――爺さんが一つのランプを買ってきた。いわく憑きの代物だそうで、何故そんなもんを喜々して買ってくるのかその神経が信じらんねぇが、それを迷わず孫に渡す神経もいかがなものか。
部屋に戻り、苛立ちついでにそのいわくの品を投げ付けたら割れて中から魔神が出てきやがった。
偉そうに願いを三つ叶えてやろう。と上からものをいうから、喋るな、帰れ、二度と出るな!
と即断したらどれ一つとして叶えようとしない。まあ帰るべきランプは割れてるんだがな。
居座られても迷惑なので、ランプを治してくれと、頼んだら、治すどころか、家にあった急須に憑きやがった、形が似てればいいのかよ。こんな迷惑なやつはいらないので、嫌いな友人に願いの権利を渡すという願いをしたらいなくなったから、そっちに行ったのだろう。そうして俺と魔神の関係は終わり、あとは平和な日常だけが過ぎた。あの爺さんはなんてことをと嘆いていたがそんなことしるか。
後日談―――ある葬式にいった。
あのランプの魔神が向かった友人の家だ。
両親が事故で死んだらしい。ご愁傷と神妙な心で向かったら、ふと嫌な噂を耳にする。
願いを叶える魔神に願いをしたという。ふむ最後の願いを何にしたんだろうな、と人事のように盗み聞きしてたら、どうやらそれは“金をくれ”なんていう凡庸でありふれたものだった。
そういえば、そいつには多額の保険金が入るんだよな、と考えついたが、まぁそれは気にしない方がいい。所詮他人のこと、可哀想にと祈って家へ帰った。
全く不幸なこともあるものだ。
ん、そいつには幸せなのか?
まぁどっちだっていいさ。
俺には関係ないことだ。
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