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そして此処は、帝国本土より少し離れた場所にある部族達が集まる集落である。
「ねぇー君長様ー今度はどんな話をしてくれるの?」
「ハハ…何を話そうかね……」
今この集落では、父親変わりとして居る君長が、集落の子供達と色々な昔話をしている最中であった。
「君長様ー今度は伝説の龍の話をしてよ!」
「おおっ! あの龍仁山に棲むと言われてる龍の話じゃな良いとも……」
君長が話しを始めようとしたその時、一人の男が君長に近づいてきた。
「クンチョウ…エモノ…トラエタ……」
部族の中では言葉が上手く話せない者も居た。
彼もその一人であった。
「おおー青龍(せいりゅう)では無いか…今日はどれだけ採れたのだ?」
その男の名は青龍、髪は長く独特な結び方をしているが、皆は余り気にしないようだ。
少し鋭い目付きが最初は子供達に嫌われていたが、子供に優しい青龍を観て皆慕うようになる。
「ノウサギ…イノシシ…アト…コレ……」
そう言うと青龍は懐から何か不思議な物を君長にそっと手渡した。
「おおー! コレは珍しい……」
「君長様ーこれなーに?」
子供達が不思議そうに覗き込む、すると君長が優しい表情をしながら子供達に説明する。
「これか? これは…龍の鱗じゃ!」
「えっ! 龍の鱗?」
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