それぞれの…戦い…

4/25
前へ
/451ページ
次へ
     そして此処は、帝国本土より少し離れた場所にある部族達が集まる集落である。 「ねぇー君長様ー今度はどんな話をしてくれるの?」 「ハハ…何を話そうかね……」  今この集落では、父親変わりとして居る君長が、集落の子供達と色々な昔話をしている最中であった。 「君長様ー今度は伝説の龍の話をしてよ!」 「おおっ! あの龍仁山に棲むと言われてる龍の話じゃな良いとも……」  君長が話しを始めようとしたその時、一人の男が君長に近づいてきた。 「クンチョウ…エモノ…トラエタ……」  部族の中では言葉が上手く話せない者も居た。  彼もその一人であった。 「おおー青龍(せいりゅう)では無いか…今日はどれだけ採れたのだ?」  その男の名は青龍、髪は長く独特な結び方をしているが、皆は余り気にしないようだ。  少し鋭い目付きが最初は子供達に嫌われていたが、子供に優しい青龍を観て皆慕うようになる。 「ノウサギ…イノシシ…アト…コレ……」  そう言うと青龍は懐から何か不思議な物を君長にそっと手渡した。 「おおー! コレは珍しい……」 「君長様ーこれなーに?」  子供達が不思議そうに覗き込む、すると君長が優しい表情をしながら子供達に説明する。 「これか? これは…龍の鱗じゃ!」 「えっ! 龍の鱗?」
/451ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1666人が本棚に入れています
本棚に追加