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「そうじゃ…龍の鱗は魔除けの効果もあるし…幸福を招くとも言われとるんじゃよ……」
「へぇー青兄ちゃん凄いねー」
「じゃが…良く見つけたの…こんな貴重な物を……」
君長は、龍の鱗をまじまじと見つめながら青龍に問い掛けた。
「グウゼン…ヒロッタ……」
青龍も、表情を一つも変えずに君長に答える。
そして、青龍の回りには子供達が笑顔で集まる。
「でも…青龍は凄いんですよ…狩りの腕前は集落一だし…武術も凄いし叶わないよなー」
「確かに…この猪だって青龍の武器で一撃ですから……」
集落の若者達が、青龍の狩りの腕前を誉める。
それを、君長は自分の息子のように静かに聞いていた。
此処で説明すると、青龍の武器は先端と先端に刄が付いてる、双刀と呼ばれる部族独特の武器を使ってる。
集落では、この武器を使える者は青龍だけだった。
「ワレ…ブジュツ…マダ…クンチョウ…カナワナイ……」
「ハハハ…当たり前じゃ! ワシだってまだまだ若い者には負けんぞ! 青龍……」
「ハイハイ…お父さんも無茶言わないの……」
君長が集落の青年達と盛り上がっていると、後ろから一人の女性がやってきた。
「何だと! カスミ…ワシだってまだまだじゃ……」
彼女の名はカスミ、戦孤児のカスミを君長が保護し、自分の娘のように育ててきた。
髪は背中まで届くほどに長く、誰にでも優しく集落では一番の女性と歌われている。
本人は余り嬉しく無いと言っているが。
「ハイハイ…もうおしまい今日はご馳走よ……」
その言葉を聞いて集落一同がはしゃぎ始めた。
一人の男を除いて。
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