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そして、場所は集落に戻り、宴も終わりに近づいてきた。
集落ではカスミを賭けて? 腕相撲大会が行われていた。
勿論本命は君長である。
「どうした? お前の力はその程度か!」
君長が、自慢の怪力を駆使して、集落の若者達を腕相撲で次々と下していった。
「クッソー! 君長には適わないよ…勝てると思ったのにー」
腕相撲で負けた青年は、物凄く悔しがる。
その横で、君長は高笑いをしていた。
「ハッハッハッ! ワシを倒そうなど十年早いわ!」
その横で、少し俯き加減のカスミを見付け君長は宥めた。
「カスミ…まだ落ち込んどるのか? 仕方あるまい……
青龍は…ワシ等と違う部族…そんなすぐには溶け込まんだろう……」
そう言うと君長は、カスミの肩をポンっと優しく叩いた。
「有難うお父さん…解ってる……
でも…早く皆に馴染んで貰おうと思って……」
そう言うと、カスミは少し涙目になった。
そこで、集落の若者達がカスミを励ましにやってきた。
「泣くなよカスミ…お前の気持ちは…俺等も解るぜ……
でも…最初の頃と比べれば全然進歩してるじゃないか……」
「そうだよ…あの時の青龍と比べれば皆違うのは解ってるよ…だからもう泣くな……」
青年達の励ましに、カスミもうっすら流した涙を拭うと笑顔で答える。
「うん…皆有難うそうだよね……」
「さぁ…それでは宴は終了じゃ…皆片付けて寝るとしよう……」
「はい君長様……」
君長の掛け声と共に、宴は終演した。
その様子を、青龍は小屋の中から観ていた。
少し嬉しいやら悲しいやらで、複雑な気持ちだった。
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