旅立ちと始まり

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     そして、場所は変わり旧領土古泊の隣に位置する都市「戒膳(かいぜん)」。  昔は、他の国の商人や隣国の部族達が出入りし、賑やかな都市として知られていた。  だが、今となっては商人の出入りを一切禁止し、盗賊の輩が出没する事に部族達も疎遠になり、今では華も無く錆びれた風景が漂う。  この錆びれた街にも一人、蔵馬と同じく九鳳の悪政に怒りを感じている男が居た。 「たっ…助けてくれぇー誰か…誰かワシ等を救ってくれ……」  街では、今日も盗賊の輩達が我が者顔で悪業の限りを尽くす。  そして、力弱き民達が盗賊に捕まり金品や食料を出すよう要求されていた。 「おい! 命が欲しかったら素直に出した方が良いぞ……  うちの頭…気が短いからぐずぐずしていると殺されるぞ!」 「ひぃっ! 此処にはもう何もありません……  食料も底を付き…明日も生きて行けるか不安の毎日…どうか…どうかお命だけはお助けを……」  数人の民達を、大勢の盗賊達が取り囲み斧や剣を突き付けしつこく脅す。  囲まれた民達は、まともな食事も取れず体は痩せ細り、抵抗しようにも結果は歴然としていた。  恐怖で怯える民達を見て、盗賊達はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべさらに脅しに掛かる。 「金品もねぇ…食料もねぇじゃ…やっぱりオマエ等の命を奪うしか無いな……」 「おい! んじゃ金品の変わりにこれで手を打とうか? これなら頭もさぞ喜ぶだろうからな……」  一人の盗賊が、剣を高々と振り飾し脅しを掛けていると、別の盗賊が隅に隠れていた若い女子を連れてきた。
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