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昌は、普通の県立高校に通うごく普通の高校2年生。
なにかが飛び出て綺麗なわけでもなく、世間でいう「中の中」だった。
「ねぇ!昌、聞いてる?」
窓の外ばかりを眺めていた昌を咎めるかのように、話しかけてくるのは、友達伝いで仲良くなった、亮子だった。
コイツの話は毎度のごとく、男の愚痴だった。
恋愛に対して、面倒だと思っている昌にとっては、どうでもいい話だった。だからといって、無視すると後々ウザいので聞き流す程度で我慢している。
「聞いてよ!啓輔ったらね……………。」
-あぁ。また始まったよ。-
と呆れながらも、相槌をしていた。
昌はまだ知らない。この先に、どんな運命が自分を待っているかを。
そして、その運命にどんだけ苦しむのかを。
昌はまだ、知らずにいた。
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