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この世界って人がこんなにいたんだ……。
そう思う程、その街は活気づいていた。
あまりの珍しさに俺はキョロキョロと周りを見る。
看板の文字は読めなかったけど、ショーケースで武器や防具などを取り扱うRPGでお約束の店が並んでいた。
(すっごい……てか、ここはやっぱ俺がいた世界じゃないんだな)
俺はこの街に来てようやく、そんな初歩的な違いに気がついたのだ。
いや、ガルヴィンに出逢った時点ですでに気付いていたけど、認めたくなかったんだ。
そう思うと、自然と顔が暗くなり、歩く速度が落ちる。
「ん?翠堵?どうかしたのかにょ?」
肩越しでガルヴィンが俺の顔を覗き込んできた。
俺は何でもないと平静を装う。
「ここだにょ」
ガルヴィンが指差した場所は一見民家だった。
「ここは?」
「いいから入るにょ!」
「イテテッ!髪引っ張るなよ!」
ギイィィィ……。
中は少し埃っぽく、お世辞にも良い店だとは言えない。
商品は、表通りで見た武器や防具とは違い
やや年期の入った本や手入れしてあるのかわからない武器防具の数々だった。
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