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ガサガサ……
トットットット……
ガサガサ……
トットットット……
『お前、ニンゲンか?』
子供のような声に俺は振り返る。
しかし、誰もいない。
キョロキョロと左右を確認するとまた声がした。
『どこ見てやがる!?下だ下!!』
声が声だけに、大した恐怖も抱かずに下を向く。
………………
…………え?
毛玉の様な体に長い尻尾が生えている。
顔の面積の半分をしめる程の大きなどんぐり目。
耳はピンと尖ってピクピクと動いてる。
うん、何て言うか……
一言で言えばあの有名映画のグレムリンのぬいぐるみのような奴がそこにいた。
ひょいとそのぬいぐるみを持ち上げる。
『わっ!?こら、何をする!ニンゲン風情がオレ様に気安く触るなダニョ!!』
……………プッ
「アッハハハ!ダニョってお前!可愛すぎるだろ!!アーハッハッハ…ハァハァ、笑い死ぬ……ククク」
『ナニ~!?これだからニンゲンは嫌いなんダニョ…』
ジタバタとソイツは暴れながら『ダニョ、ダニョ』と文句を言う。
それは、アリエナイ世界に来てしまった俺の不安と恐怖を少しだけ取り除いてくれた最初の出逢いだった。
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