冬の生き様

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空を見上げると重厚な雲がまだそこにあった。 しばらくどいてくれる気はないらしい。 今度は下を見た。 まだ降り積もって間もない雪のカーペットと、 自分がたしかにここまで歩いてきたという足跡だけが混在していた。 再び前を向く。 昔ガソリンスタンドだった場所は、 今では駐車場へとその姿を変えた。 とはいえ雪のせいで駐車場であることさえもわかりにくい。 かろうじて、 すっかり白くなってしまった数台の車がここがどこであるか教えてくれた。 時の流れは、 時間以外も巻込んでいる それがいいことか悪いことなのかはわからない。 時間のおかげで様々なものを得ることができた。 時間のせいで様々なものを失ってしまった。 感謝することもあれば、 逆に恨むことだってある。 今だって、 時の流れのおかげでタバコを堂々と買える年齢になったし、 時の流れのせいでタバコなんか吸い始めるようになった。 そんなことを知ってか知らずか、 誰に言われたわけでもないのにまた勝手に時間は流れていく。 目には見えなかったが、 時間も、 冬の冷たい空気も、 友情や愛情だって存在していると思えた
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