13人が本棚に入れています
本棚に追加
どうして穴が開いてるんだろう
その答えはあまりに単純だった。
だからこそ、
その事実から目を背けたくなってしまったのである。
後悔
こんなことで後悔なんかしたくはないが、
どうしてもその二文字が頭に浮かぶ。
なんでちゃんと確認しなかったんだろう
まさか、
百円だと思っていたのが五十円だったなんて
自分で自分を裏切ってしまったような気持ちになる。
二百五十円ではタバコは買えない。
それは事実である。
しばらくタバコの自動販売機とにらめっこしたが、
勝てるはずもなかった。
その場に立ち尽くし、
右手に握られた三枚の硬貨に力を込める。
ポケットに入れて叩いても増えないことはすでに実証してしまった。
握られた拳を緩め、
もう一度開いて見てもそこには二百五十円がこちらを見ているだけだった。
なんとなく並びがネズミにも見えた三枚の硬貨は、
自分たちが使われるのを待っていた。
気がつけばそのうちの二枚がなくなり、
手のひらにはあたたかいコーヒーと百三十円が握られていた
最初のコメントを投稿しよう！