肥田春充

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その後、春充は、この丹田思想をさらに発展させて「正中心」と名付け、その幾何学的位置を図示し、史上初めて丹田を合理的、科学的に解説する。こうして強健を志してから23年目のある晩、忽然と「聖中心」に落節し、これが禅の奥義であり、あらゆる芸事、武芸の奥義であることを体得した。また、春充は、この強健な肉体と明晰な頭脳をもって、大川周明らと共に当時の国難にあたり、太平洋戦争勃発の阻止に尽力する。しかし、事ならず戦争が始まると、終戦に向けて努力するなど様々な国家的事件に関与した。晩年の春充は、この聖中心より見た真理を書き残すことに力を傾け、10年にわたり徹夜に等しい研究の末「宇宙倫理の書」を書き上げる。その原稿は積むと人間の背ほどもあると言う。こうして宗教、哲学の奥義に達し前人未踏の境地までに邁進するが、人類の前途を愁うるあまり食欲不振になり、49日間の完全断食の後その74年の生涯を閉じた。 DVD「全集版 肥田式強健術」肥田春充 プロフィールより参照
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