【現実】

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僕は一人草むらに向かった… 「美月いるかな…」 草むらをかきわけて病院の見える場所から彼女が朝バイオリンをひいていた場所を見た… 「やっぱいねぇや…」 少し期待していたせいか、ガッカリした… 「目の見えない人って…毎日何をやってんだろう…」 そんな事を考えながら楽器屋に向かった… 僕のよく行く楽器屋は商店街から少し入り込んだ場所にある…そこの店長さんは昔バンドをやっていたみたいで店の中には当時の写真が沢山飾ってあった。 「こんにちわ。」 「いらっしゃい。今日は勢揃いだね。」 店長さんは僕を見ると店の奥を指さしながら笑顔をうかべてそう言った。 「奏。早かったな。用事終わったのか?」 店の奥には崇達の姿があった。 「いがいと早く終わった…」 「そうか…あっ!奏…斉藤さんがお前の書いた歌詞見たいってよ。今持ってるかぁ?」 斉藤さん?僕は誰の事かさっぱりわからなかった… 「歌詞はあるけど…」 鞄の中から歌詞を取り出し僕はキョロキョロしていた… 「見せてもらってもいいかな?」 横から腕には沢山のSilverが着いた手が僕が書いた歌詞の前にのびた… 「あっ…うっす…」 店長の名前斉藤って言うんだぁ… ここには週に二、三回は来ているのに店長の名前なんて知らなかった… 店長は僕の書いた歌詞を 読んで一言僕に言った… 「この歌詞…奏君が作ったの…?」 「そうですけど…」 何か歌詞に問題があるのかと…少し次に出てくる言葉が恐かった… 「全然良いと思うよ…だけどしいて言わせてもらうなら…誰かを思い、書いてやるともう少し、歌詞のイメージがはっきりするんじゃないかな…」 誰かを思い…書いてみる… 今までそんな事…やった事なかったな… 「ありがとうございます。もう一度書いて見ます…」 僕の性格上…すると決めたらすぐにしないと気がすまないタイプだ… 崇もそれを知っているから… 「俺がピックと弦買っといてやるよ!いつものでいいんだろ?」 「わりい。崇まかせるわ!」 僕は崇にお金だけ渡すとすぐに家に向かった…
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