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次の朝…
「奏!朝よ!起きなさぁい」
「はぁい…」
僕は起き上がり目を擦りながら洗面所に向かった…
「うわっ!!すっげぇ寝癖…」
洗面所の鏡で自分の頭を見てビックリした…
こりゃぁ実験に失敗した化学者の頭だな…
僕は水で髪を濡らして寝癖をとった…
そして部屋に戻り学校に行く準備をした…
朝の一分はとても貴重な時間だ…僕は寝ぼけながらもある程度学校に行く用意が出来た…
「奏。早くご飯食べちゃって!」
お母さんはバタバタ忙しそうに僕に言った。
パンを一枚口に加えて僕は学校に向かった。
「いってきます…」
いつもより少し早く家を出た…それは美月といっぱい話したかったからだ…
「美月…もう外にいるかな…」
僕の頭の中は美月に会う事で頭がいっぱいだった…
いつもの草むらを通り病院の見える場所に着いた。
綺麗なバイオリンの音色は……聞こえてきた!
「美月!おはよう美月!」
僕が大きな声で挨拶すると演奏が止まった。
「かぁくん?おはよう!」
「今日は少し早く着いたからまだ美月がいないのかと思ったよ…」
僕はいつも話している声より少し大きな声で話した…目の見えない美月に僕の居場所を伝えるには大きな声でアピールするのが1番だと思ったから…
そのせいもあって美月は僕のいる方を向いて話してくれる…
だけど目線は合わないが…
「昨日…俺がよく行く楽器屋の店長に俺が書いた歌詞を見せたんだ…そしたら、誰かを思い歌詞を書いてみたらって言われたんだけど…中々難しくて…」
僕が少しため息をつきながらそう言うと…
「かぁくんの…大事な人…その人の事を考えて書いたらいいんじゃないの?例えば…友達や…家族や…好きな人や…」
それはわかっている…
それより大事な人とは一体誰なんだろう…家族?大事かもしれないが…家族の歌を作っているわけじゃない…
崇達かぁ…?
確かに大事だ…だけどこれも違う…僕が作りたいのは友達に捧げる歌じゃない…
「俺が作りたい曲は…家族でも…友達でもない…」
僕は一言そう言った…すると彼女は…
「じゃあ…どんな曲…恋愛?」
僕は恥ずかしながら…
「それが1番近いかな…」
と言った…だけど…僕は一体誰の事を思い書けばいいのか…
「好きな人いないの?」
美月はそっと僕に問いかけた…
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