【現実】

2/9

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
僕は、複雑な気持ちのまま病院を出て倉庫へと急いだ… 倉庫の近くまで来ると、ドラムの音やギターの音がしていた… 「みんなもう練習やってるし…」 僕は足早に倉庫に急いで扉を開けた。 扉の開く音と同時にすべての音が消えた… 「おい!奏!おせえよ!」 こいつはドラムの【佐々木崇】だ…こいつとは幼なじみで小さい時からいつも気付けば側にいた。「わりい…ちょっと道教えてた…」 「またまた…まぁいいや…とりあえず始めるぞ。」 僕はさっきの出来事は何も言わずに黙ってマイクを握った… 「奏。最初の曲は【BLUE】からやろう。歌詞間違えんなよ!」 「あぁ…わかった…」 ピアノの音が流れ始めた… とりあえずさっきの事は忘れて今は曲に集中だ… 【Lonely Way・・・いつもよりは遠いけれど…あなたに会いに……………】 一曲目が終わった… 「おいおい!奏!どうしたよ!?今日かなりいいじゃんよ!?さぁてぇはぁ…誰かを思って歌ったなぁ?」 崇はとても嬉しかったのか日頃の彼からは想像出来ないくらいに絡んでくる。 「いやぁ…別に…」 誰かの事を考えて歌う?…図星だった…… 歌っている間ずっと彼女の事を考えていた… 「まぁいいや!奏、今の調子でじゃんじゃんいこうぜ!!」 結局この後一時間位休みなしで歌った… 崇……水くらい飲ませてくれよ……
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加