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大好きな貴方と
帰りが一緒になった
一緒だけど
一緒じゃない
前後の距離
私は彼の背中を必死で追いかける
一生懸命
追いかけた
「待って」
そう言えば聞こえる距離
言えばきっと彼は止まってくれる
けれど
開こうとした口は思うように開かない
まるで接着剤で一瞬にして固められたみたいに
固く
固く
閉じられている
私は結局
最後まで口を開けなくて
ただただ
前にいる彼の後ろ姿を追いかけた
「…─っ…!」
やりきれない想いが
私の体を駆け巡る
声の代わりに出てきたモノは
一粒の涙─…
その後に続くかのように
無数の涙が私の頬に流れ落ちる
私は彼に気付かれないよう必死だった
結局
さようなら
も言えないまま
私は彼の後ろ姿を目で見送った
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