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ビルが立ち並び、太陽の光が反射して街を更に明るく彩っている。
動き回る色はサラリーマンであり、女子高生であり、趣味の悪い服を着たオバサンたちである。
それでも真上を見上げると何もなくただ【青】だけが広がる。
『学校の屋上ならもっとおっきな【青】が見えるのに』
ビルに囲まれた総合病院の病室で美幸は呟いた。
まるで退院したらすぐに学校に戻るかのような口ぶりだが、とっくに美幸は「学校」を卒業している。28年前に。
高校時代に戻ることなんて無理。そして、退院することなんて無理だと知っていた。だからこそ美幸は屋上に行きたいのだ。
もう一度、仲間達と見た果てのない【青】を見るために。
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