一部

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騒がしかった街もひと段落する昼下がり。 ギギッっと鍛冶屋の扉が開く音がする。 『いらっしゃいませ』 作業が忙しく、扉の方に顔を向けれず、声だけをかける。 「残念、お客じゃないわよ」 少し高めのすんだ声が聞こえてきた。 そこには、砂金のように輝く髪をした小柄な女性が立っていた。 『なんだ、レナか』 恋人の訪問に顔がほころんだ。 「なんだとは、ごあいさつね。仕事はどんな感じ?」 『ぼちぼちだよ。装飾用のナイフの注文が一件入ったくらいかな』 「この時期に注文があるだけいいじゃない。世間はあの事件があってから、ナイフに対してあんまり良いイメージ持ってないし」 『そうだな。あんまり、贅沢も言えないよな。』 「そうそう、途中で腹立たしい張り紙があったから、破っておいたわ」 『どんな?』 「これよ、こんないたずらするなんて幼稚すぎるわ」 そういって差し出された張り紙に目をやる。
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