69人が本棚に入れています
本棚に追加
「ホリィ、僕のわがままでこんな生活をさせてすまなかったね。本当にすまなかったと思っているよ。おばさんが言った通り、この町を出ていくという選択もあったんだからね。だけど、僕はしなかった。なんとか分かってほしかったんだ。この町の人に。でもだめだったよ……。
ねぇ、ホリィ。最後にもう一つだけ僕のわがままを聞いてくれるかい? この手紙を僕の故郷まで持っていってほしいんだ。ホリィには初めて話すけど、故郷で帰りを待っていてくれる人がいるんだ。こんな僕の帰りをずっとずっと。だから手紙を渡して知らせてほしいんだ。もう待たなくてもいいんだよ、って。
お前には辛いことかもしれないけれど、他に頼める人がいないんだよ。でもね、嫌だったらそれでいいんだ。君の好きにするといい」
青年は穏やかな目でホリィを見つめます。
ホリィは足下の手紙を口にくわえ、しっかりと青年を見つめ返しました。
青年はにこりと微笑みます。
「ありがとう、ホリィ。今までずっと一緒にいてくれて、本当にありがとう……」
青年は穏やかな笑みを浮かべたまま、静かに息を引き取りました。
ホリィと出会った冬の季節を迎える前のことでした。
最初のコメントを投稿しよう!