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ふわり、ふわりと雪が舞う中。
一匹の猫が夜の大通りを歩いていました。頭もまっくろ、胴もまっくろ、足も尻尾もみんなみんな真っ黒な黒猫です。ただ瞳だけは澄んだ緑色をしていました。
ゆらゆらゆらゆら。黒猫が歩くたびに、お気に入りのカギ尻尾が小さく揺れます。
町はすっかり綺麗なイルミネーションで飾られています。今日はクリスマスなのでした。幸福そうな顔をしている人々の合間をぬい、黒猫は歩いてきます。
少し町からはずれたところまで歩くと、ぼろぼろの小さいな木の家が見えました。風が吹けばすぐさま壊れてしまいそうです。その家の隣でなにかをを囲むように、一、二、三――とても数え切れない猫が月明かりの中、ただ静かに座っていました。
真っ黒な猫、真っ白な猫、茶色の猫、ぶち猫から三毛猫まで、それはもう町中の猫が集まっているんじゃないかと思うぐらい、大勢の猫です。いえ、実際町中の猫がここに集まってきているのです。飼い猫ですら、家を抜け出してこの場所に来ています。
あとは黒猫が加わればみんな揃うことになります。
いったい、みんな集まってなにをしているのでしょう?
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