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それは人間たちの間だけに限ったことではありません。同じ猫からも嫌われているのです。
黒猫が魔女に仕えたおかげで、猫全体の評判がガタ落ち。人間たちが『魔女狩り』を行っている間、猫たちもまた密かに『黒猫狩り』を行ったほど、猫たちの怒りは相当なものでした。
なにせ同じ猫というだけで、人間たちからひどい扱いを受けたのですから。その怒りはもっともでしょう。
『黒猫は我ら猫の仲間にあらず』
その時、猫たちの間で掲げられたこの言葉は、ずいぶんと時が経っても、伝えに伝えられ、この町では色濃く残っていました。
人間たちの知らぬ間に『黒猫狩り』はひっそりと続けられていました。
黒猫が町から減ったとしても人間たちは不思議に思いませんでした。
むしろ喜んだことでしょう。やっぱり黒猫は不幸の象徴。できれば見たくないものなのです。
『黒猫狩り』により次々と黒猫が町から追い出され、残ったのはボス猫となった黒猫だけでした。
黒猫はけんかが強かったのでそうそうやられはしなかったのです。だからこそこの町でボス猫となれたのです。
黒猫の両親も町を出ていきましたが、黒猫は頑としてこの町に留まりました。それはもう、黒猫としての意地でした。
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